ビタミンE(αトコフェロール)

 ビタミンEは最初、動物の不妊症や流産を防ぐビタミンとして発見されました。

 その後の研究で、天然には八種類のビタミンEが見つかり、いずれも植物だけが合成でき、動物は植物のビタミンEを利用しているだけです。

 この八種類のビタミンEの中で、人や動物に対する生理活性が一番強いのがαトコフェロールです。それで、ビタミンEといえばαトコフェロールを指すのが一般的です。

 さて、ビタミンEは現在までの研究では、抗酸化作用、つまり身体が酸素の作用で酸化されて、だめになるのを防ぐ働きをしていることが最も注目されています。

 私たち人間も動物も、一つひとつの細胞によってできています。たくさんの細胞が集まり、臓器や組織、腺や血管などを作っていて、この細胞の表面には細胞膜といって中と外を区別するためのものが在ります。

 私たちの細胞膜は弾力性を保つために不飽和脂肪酸が多く使われています。しかし、この不飽和脂肪酸は非常に酸化されやすいのです。

 細胞膜が酸化すると、弾力性を失い正常な細胞の機能が果たせなくなり、色々な疾患になってしまいます。そして、血液の中にも酸化されやすいものがたくさんあります。

 私たちは酸素がなくては生きていけません。細胞は、絶えず酸素を利用して活動しています。

 ところが、酸素は時々反応性の高い凶悪な活性酸素になり細胞膜や、血液の中のコレステロールを酸化させてしまいます。この活性酸素の害から細胞を守るためには、細胞膜にも血液の中にも必ずビタミンEが必要なのです。

 多くの発ガン物質や環境汚染物質、オキシダントなども、活性酸素を作りやすいことが知られています。

 是非ビタミンEを…・
ワンポイントアドバイス

 同じαトコフェロールでも、天然の食品から抽出したものと人工的に合成したものでは、分子の構造が異なります。

 自然界に存在するトコフェロールは、化学的には「D型」と呼ばれる型をしています。

 そのため、天然型のビタミンEのサプリメントには、頭にDを付けて、「D−αトコフェロール」などと表記されているはずです。

 人工的にビタミンEをつくった場合にはD型だけをつくれずに、活性の低いタイプも混じってしまいます。この合成型の名称は、「DL−αトコフェロール」となります。

 天然型のビタミンEが一番活性の高いタイプだけを選抜した精鋭軍だとすれば、合成型のほうは訓練兵もミックスされた混成部隊なのです。

 両者を100ミリグラムずつとったとすれば、当然、天然型のほうが高い効果を期待できます。